【法人向け】ハードディスク(HDD)の破壊方法を解説!物理破壊は自力でできる?

パソコンを処分する際、HDDの取扱いには注意が必要です。HDDには法人の機密情報が含まれている場合が多く、誤った方法で処分すると、情報漏洩につながるからです。
最も確実に処分する方法は、HDDの物理的な破壊ですが、けがなどのリスクがあり初心者には危険な作業です。

そこで今回は、HDDの「物理的な破壊方法」や「自社で破壊するデメリット」「業者に依頼するメリット」を解説します。HDDの処分を検討している方は、ぜひ最後まで読んでください

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目次

法人のHDDは物理破壊が必要

法人のHDDに機密情報が入っている場合、情報漏洩を防ぐため完全なデータ消去が必要です。データ消去のなかでも、物理破壊は確実性の高い手段のひとつです。

ここでは、
・なぜ物理破壊が有効?情報漏洩リスクの観点
・実際に起こった情報漏洩事件
を解説します。

なぜ物理破壊が有効?情報漏洩リスクの観点

HDDの物理破壊には、以下のようなメリットがあります。

物理的に破壊することで、データの復元が不可能になる
外観からデータ消去の有無を確認できる

機密情報を含む法人パソコンを処分する際には、情報漏洩のリスクが高く、十分な対策が必要です
処分方法の中でも、HDDの物理破壊は最もセキュリティレベルが高く、安心できる処分方法とされています。
仮に悪意のある第三者にHDDが渡ったとしても、読み取り不能な状態にしておけば、情報漏洩の心配はありません

実際に起こった情報漏洩事件

ここで、HDDの適切な処分を怠った結果、重大な情報漏洩につながった事件を紹介します。
代表的なのが、2019年に発生した「神奈川県HDD流出事件」です。
神奈川県庁がリース返却したHDDが、委託業者の不正により外部へ転売され、最大46万件の個人情報が流出しました。
県はHDDの破壊を委託していましたが、作業完了の確認を怠ったことが原因で、情報漏洩につながりました。

出典|神奈川県庁のHDD流出事件からの教訓|IT Leaders

また2021年には、セキュリティ企業の元社員が、業務データを保存した私物HDDをフリマサイトで販売し、一部情報が流出しました。
元社員により消去は行われていたものの、復元されてしまい、同社が自主回収と公表対応に追われました。

いずれの事件も、HDDを物理破壊し、目視で破壊を確認すれば情報漏洩を防げた事件です。
このような事件から分かるように、機密性の高い情報が保存されたHDDは、復元不可能な方法での処分が重要です。

HDDを物理的に破壊する方法

HDDを物理的に破壊する方法はいくつかあります。ここでは、事前準備とともに、

  1. ドリルで穴を開ける方法
  2. ハンマーで叩く方法
  3. HDDを分解してプラッタを破壊する方法

を解説します。

1.HDD物理破壊の注意点と事前準備

まずはパソコンから、左画像の状態でHDDを抜き出す必要があります。

またHDDの中には、右画像のようにプラッタと呼ばれるディスクが入っており、完全なデータ消去にはプラッタの破壊が必要です。
ただし、プラッタはガラスでできていることもあり、破片が飛び散ることもあるので注意しましょう。
また、実際に物理破壊を行う場合は、以下の準備物が必要です。

【破壊物】
・ドリル、ハンマー、ペンチなど

【共通】
・保護メガネ、手袋、作業マット、精密ドライバーセット(トルクスドライバー)

2.ドリルで穴を開ける

もっとも手軽な方法のひとつが、ドリルでHDDのプラッターに複数の穴を開ける方法です。
HDDの裏面を確認するとプラッターの位置が分かるため、そこを狙って数か所に穴をあけます。
ただし、HDDは硬いため、ドリルの刃が折れるリスクがあります。
また、プラッターを外して穴を開けてしまうと、データが残る可能性があるため、位置確認は重要です。

3.ハンマーで叩く

次に、ハンマーを使ってHDDを破壊する方法です。
鉄板など硬い作業台の上にHDDを置き、プラッターのある中心部を狙って叩きます。
ただし、HDDの外装カバーを取り外さずに叩いた場合、内部の破損が確認できません。
確実にデータを破壊したい場合は、トルクスドライバーでHDDを分解し、プラッターを露出させて叩くとよいでしょう。
その際は、破片の飛散に十分注意してください。

4.HDDを分解してプラッタを破壊する

もっとも確実な方法が、HDDを分解し、内部のプラッターを直接破損させる方法です。
トルクスドライバーを使ってネジを外し、HDDの外装カバーを外します。

取り出したプラッターに対して、ハンマー、ペンチ、はさみなどで傷をつけることで、物理的に読み取り不可能な状態にします。

ガラス製プラッターの場合は破壊時に破片が飛び散るため、保護メガネや手袋などを使用して安全に作業しましょう。

物理破壊以外の方法

データ消去が外観から確認しやすく、最もセキュリティレベルが高い物理破壊。
しかし、その他の方法でもデータを「復元不能」にできますので、各法人のポリシーに沿った方法を選ぶ必要があります。
ここではHDDを処分する場合に、「物理破壊」以外の方法として以下を紹介します。

・ソフトウェア消去
・磁気破壊

それぞれの特徴を表にまとめると以下のとおりです。

 物理破壊ソフトウェア消去磁気破壊
コスト〇 工具:数千~数万円〇 ソフト:数千~数万円× 装置:50~150万円
労力× 手作業◎ クリック中心の操作◎ 一括処理も可能
作業の安全性× 飛散・破片に注意◎ PC操作のみで安全〇 非接触で安全
消去の確実性◎ 復元不可〇 正しく作業できる人が必要◎ 復元不可
時間(1台あたり)〇 10分程度△ 数十分~数時間◎ 数秒~1分程度
再利用× 不可◎ 可能× 不可

それぞれの方法のメリット、デメリットを見ていきましょう。

1.ソフトウェアによるデータ消去

物理破壊以外の方法として、まず挙げられるのが「ソフトウェアによるデータ消去」です。
この方法は、専用ソフトを用いてデータを複数回上書きし、データを消去する方法です。

メリットは以下の点です。

・ストレージの再利用が可能
・比較的コストが安く、特別な機材も不要
・その場で処理できるため、即時の対応が可能

一方、デメリットは以下の点です。

・ソフトが起動しないPCでは使用できない
・3回以上の上書きが推奨され、複数台処理する場合は時間がかかる
・「ソフトウェア選定」や「作業手順」を誤ると、復元されるリスクが残る

労力が少なく作業の安全性が高いなど、ソフトウェアによるデータ消去は多くのメリットがあります。
一方で作業手順を誤るとデータが残るリスクがあるため、作業に慣れていない場合は、専門業者に依頼した方が無難です。

2.磁気によるデータ消去

物理破壊に代わる手段として、「磁気消去(デガウス)」も選択肢のひとつです。
強力な磁気をHDDに当て、記録されたデータを無効化します。

メリットは以下の点です。

・わずか数秒でデータ消去が完了
・複数台を連続処理でき、作業効率が高い
・HDDをパソコンから取り出さず、そのまま処理できる機種もある

一方、デメリットは以下の点です。

・処理後のHDDは再利用できない
・外見から消去の有無が判断できない
・装置の導入コストが高く、50万~150万円程度かかることもある

一度に大量のHDDを短時間で処理したい場合には、有効な選択肢となります。
 ただし、導入コストが高いため、「事業規模の大きい事業者」「使用頻度が高い事業者」におすすめします。

自力でHDD破壊はやめとけ?自社で破壊・廃棄するデメリット

HDDを物理的に破壊する場合、不慣れな人にとっては危険を伴う作業です。

ここでは自社でHDDを破壊・廃棄するデメリットをご紹介します。

  1. 完全なデータ消去が保証できない
  2. けがや事故の危険がある
  3. 労力がかかる
  4. 法的、契約的な証明が残らない
  5. 不適切な廃棄が環境破壊や罰則につながる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.完全なデータ消去が保証できない

HDDは内部のプラッタを正確に破壊しなければ、データが残る可能性があります。
自力で破壊する場合、位置を誤ったり、複数あるプラッタの一部しか破壊できないことも。
その結果、第三者にデータを復元されるリスクが生じます。
確実な消去を求めるなら、自社での処理は避け、専門業者に依頼するのが安全です。

2.けがや事故の危険がある

HDDを物理的に破壊するには、まずパソコン内部からHDD本体を取り外し、プラッタを露出させる必要があります。
この作業は初めて作業する方にとってハードルが高く、無理に行うと手や指を傷つける恐れがあります。
特にプラッタは硬く脆いため、破壊時に鋭利な破片が飛散するリスクがあります。
こうしたリスクを回避するためにも、HDDの破壊は安易に自力で行わず、専門の業者への依頼が推奨されます。

3.労力がかかる

HDDを自力で破壊するには、まずパソコンからHDDを取り出し、さらに中のプラッタまで分解する必要があります。
台数が多い場合や作業に不慣れな方にとっては、相当な手間と時間がかかります。
加えて、ドライバーやハンマー、ドリルなどの工具も事前に準備しなければなりません。破壊後はガラスや金属の破片が飛び散ることがあり、後片付けや掃除も必要です。
こうした労力を考えると、専門業者に依頼した方が円滑に処理ができます。

4.法的・契約的な証明が残らない

自社でHDDを破壊した場合、「適切に処分したこと」の証明が困難になります。
法人では、個人情報保護法などの対応として、HDDの処分証明が求められるケースがあります。
しかし自社で破壊した場合は、作業記録や第三者の確認がないため、「適切に破壊したか」客観的な証明が困難です。

一方、外部業者に依頼した場合は「データ消去証明書」や「物理破壊証明書」などの書類が発行され、監査や取引先への提出に活用できます。
HDDの適切な処分を証明したい場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。

5.不適切な廃棄が環境破壊や罰則につながる

HDDを廃棄する場合は、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
適切な処理を怠ると、廃棄物処理法違反となる可能性があり、企業としての責任が問われます。
また、処分の際にはマニフェストの発行・管理が求められる場合もあり、法的手続きへの理解も不可欠です。
アルミや銅、希少金属などの資源も、適切に処理すれば再利用が可能です。
こうした対応を自社だけで行うのは負担が大きいため、専門業者に任せることをおすすめします。

こんな場合は業者に相談!HDD破壊・データ消去を専門業者へ依頼するメリット

HDD破壊を専門業者に依頼することは、以下のメリットがあります。

  1. 専用設備で確実かつ効率的に処理できる
  2. 破壊後の廃棄処理まで一括で対応可能
  3. データ消去作業証明書が発行される

どういう場合に専門業者に相談するべきかを含め、それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.専用設備で確実かつ効率的に処理できる

専門業者は、HDD専用の破壊機を活用し、確実かつ短時間で処分を行います。
また専用機器により、データの復元を不可能にし、情報漏洩のリスクも抑えられます。
機密情報の入ったパソコンを大量に廃棄する場合は、専門業者に相談しましょう。

2.破壊後の廃棄処理まで一括で対応可能

専門業者に依頼すれば、HDDの破壊から廃棄処理までを一括で対応してもらえます。
産業廃棄物処理に必要なマニフェストも発行されるため、自社での手続きが不要です。
さらに、機器の運搬・分別・リサイクル対応などの作業も委託できるため、廃棄に関わる手間を大きく削減できます。
廃棄にかかる手間を省きたい場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。

3.データ消去作業証明書が発行される

専門業者に依頼すると、データ消去や物理破壊の実施を証明する作業証明書が発行されます。
多くの場合、HDD破壊後の状態を撮影したレポートが添付され、処分の証拠として活用できます。
社内外の監査対応や取引先への報告など、コンプライアンスを意識する法人にとって、証明書の存在は重要です。

HDDの処分は加賀マイクロソリューションにご相談ください

HDDの処分は、信頼と実績のある加賀マイクロソリューションにお任せください。

弊社は、東証プライム上場企業「加賀電子株式会社」のグループ会社として、累計100万台以上の買取・データ消去の実績がございます。

今回ご紹介したHDDの「物理破壊」はもちろん、「ソフトウェア消去」「磁気消去」などあらゆる方法を、お客様のセキュリティポリシーに応じて、ご提案いたします。

安全・確実にHDD処分を行いたい法人様は、お気軽に問い合わせフォームから、ご相談ください。

HDDの物理破壊は危険が伴う!安全に処分したい場合は、専門業者に相談を

機密情報が入ったHDDは、復元不可能な方法によるデータ消去が求められます。
HDDの物理破壊は最もセキュリティの高い消去方法ですが、自社で破壊する場合は、以下のデメリットがあります。

・完全なデータ消去が保証できない
・けがや事故の危険がある
・労力がかかる
・法的、契約的な証明が残らない
・不適切な廃棄が環境破壊や罰則につながる

一方、専門業者への依頼により、安全・安心なデータ消去を実現し、廃棄にかかる手間の削減ができます。

HDDを安全かつ効率的に処分したい場合は、専門業者への外注を検討しましょう。

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