リモートアクセスとは?安全なテレワーク環境を構築するための基本知識

リモートワークが定着した今、社外から社内ネットワークへ安全にアクセスできる環境づくりは、多くの企業にとって欠かせない課題となりました。

しかし、VPNやリモートデスクトップ、セキュアブラウザなど、方式ごとの特徴やセキュリティの違いを正しく理解しないまま導入してしまうと、情報漏えいや不正アクセスのリスクが高まる可能性があります。

この記事では、リモートアクセスの基本的な仕組みと代表的な方式、それぞれのメリット・デメリット、導入時の注意点をわかりやすく解説します。

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目次

リモートアクセスとは

リモートアクセスとは、社外の端末から社内ネットワークや社内PCへ安全にアクセスし、会社と同じ業務環境を利用できる仕組みのことです。自宅・出張先・支社や外部拠点など、オフィス以外の場所からでもメール、ファイルサーバー、業務システム、社内アプリケーションに接続できるため、テレワークやハイブリッドワークが一般化した現在、多くの企業で必須のIT基盤になっています。

リモートアクセスの方式にはいくつか種類がありますが、大きく分けると次の3つが代表的です。

  • VPN(Virtual Private Network)方式
  • リモートデスクトップ方式
  • セキュアブラウザ方式

いずれも「社外 → 社内」への通信を安全に行う技術ですが、仕組み・安全性・操作性・コストが大きく異なるため、自社の業務内容やIT資産、従業員数に応じて最適な方式を選ぶ必要があります。

リモートアクセスの代表的な3つの方法

リモートアクセスには複数の方式がありますが、企業で広く利用されているのはVPN、リモートデスクトップ接続、セキュアブラウザの3つです。それぞれで「安全性」「操作性」「導入のしやすさ」が異なるため、自社の業務環境やセキュリティ要件に合わせて選ぶ必要があります。

ここでは、それぞれの方式の仕組みとメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

VPN(Virtual Private Network)

VPNは、インターネット上に暗号化された「仮想専用線(トンネル)」を構築し、社内ネットワークに安全に接続する方式です。

社外からでも社内LANと同じ環境を利用できるため、業務システムやファイルサーバーを普段と変わらない感覚で使える点が強みです。一方で、VPN機器の導入・運用にはコストがかかり、アクセス制御を適切に管理しなければ、不正侵入が起きた際に社内ネットワーク全体へ被害が広がる恐れもあります。

リモートデスクトップ接続

リモートデスクトップは、社内PCの画面を転送し、社外から遠隔操作する方式です。

アプリや設定をそのまま利用でき、データをローカル端末に残さずに作業できるため、情報漏えいを抑えやすい点が特徴です。ただし、画面転送のためネットワーク品質に左右されやすく、通信環境によっては動作が重くなることがあります。

また、万が一不正アクセスを許してしまうと、社内PCを実際に操作されてしまう危険性もあるため、厳格な認証設定が欠かせません。

セキュアブラウザ

セキュアブラウザは、専用ブラウザ内に仮想的な業務環境を表示して利用する方式で、データが端末に残らないよう設計されています。

コピーや保存、印刷なども細かく制御できるため、安全性が高く、スマートフォンやタブレットなど多様な端末で利用しやすい点も魅力です。ただし、ローカルアプリを必要とする業務では対応できない場合があり、通信状況によって動作が左右されるケースもあります。

方式仕組み操作性・メリット安全性・デメリット・注意点
VPNインターネット上に暗号化された「仮想専用線」を構築し、社内LANに直接接続する。【社内と同じ感覚】社内環境(業務システムやファイルサーバー)をそのまま利用できるため、利便性が高い。【被害拡大のリスク】
・不正侵入されると社内全体に被害が及ぶ恐れがある。
・機器の導入・運用にコストがかかる。
リモートデスクトップ社内PCの「画面を転送」し、社外から遠隔操作する。【アプリ・設定を維持】社内PCの環境をそのまま使える。
ただし、通信品質に操作感が左右され、動作が重くなることがある。
【データ漏えい防止】
・手元にデータが残らないため安全。
・万が一認証を突破されると、社内PCを直接操作される危険がある(厳格な認証が必要)。
セキュアブラウザ「専用ブラウザ」内に仮想的な業務環境を表示して利用する。【マルチデバイス対応】スマホやタブレットでも利用しやすい。
ただし、ローカルアプリが必要な業務には対応できない場合がある。
【高い安全性】
・コピー、保存、印刷の制限が可能。
・端末にデータが残らない設計。
・通信状況に動作が影響される場合がある。

リモートアクセスの3つのメリット

テレワークが一般化した現在では、「どこからでも社内環境にアクセスできる仕組み」は、生産性向上とリスク対策の両面で欠かせない要素となっています。

ここでは、リモートアクセスの3つのメリットを紹介します。

1.テレワークを実現できる

リモートアクセスのメリットは、自宅や外出先などオフィス以外の場所でも、社内と同じ業務環境をそのまま利用できる点にあります。

テレワークの定着が進むなかで、従業員が場所に縛られずに働ける体制をつくることは、企業にとって欠かせない取り組みとなっています。

事務職から営業職まで幅広い職種で導入が進んでおり、リモートアクセス環境の整備が働き方改革の基盤として重要な役割を果たしています。

2.情報漏えいリスクを減らせる

リモートアクセス環境では、データを端末側に保存せず、社内システム上で処理する方式を選ぶことで、情報漏えいリスクを下げられます。

例えば、社外で業務を行っていてもデータが手元のPCやスマートフォンに残らないため、端末の紛失・盗難に伴うリスクを最小限に抑えられます。

また、多要素認証の導入やアクセスログの管理と組み合わせることで、不正アクセスの防止にも効果的です。安全性を高めながら社外からの業務を可能にできることは、企業のセキュリティ対策として価値があります。

3.BCP(事業継続)対策につながる

災害・感染症・交通障害など、出社が難しい状況でも業務を止めない仕組みとして、リモートアクセスは事業継続計画(BCP)の重要な要素となっています。

社内に来られない状況でも従業員が自宅から業務を継続できれば、企業活動への影響を最小限に抑えることができます。

全国規模でテレワークが求められた状況を経験した企業では、「緊急時でも業務を維持できる体制づくり」が必須のテーマとなり、リモートアクセスの整備がBCP強化の基盤として位置づけられています。

リモートアクセスのデメリットと注意点

リモートアクセスは利便性が高い一方で、導入や運用の方法によってはセキュリティリスクやコスト負担が生じます。社外から社内ネットワークへ接続できる仕組みは、不正アクセスや設定ミスといった問題が起こった場合の影響が大きく、慎重な運用が求められます。

ここでは、企業がリモートアクセスを導入する際に押さえておくべき注意点を解説します。

不正アクセスのリスクがある

リモートアクセス環境は、社外からの接続を許可する仕組みである以上、攻撃者に狙われるリスクを常に抱えています。VPN機器の脆弱性や弱いパスワードを放置していると、総当たり攻撃やなりすましによる侵入につながり、最悪の場合は社内ネットワーク全体が被害を受ける可能性があります。

リモートデスクトップ接続も同様で、不正ログインが成功すれば実機と同じ操作を許してしまうため危険です。

これらを防ぐためには、パスワード強化、多要素認証の導入、アクセスログの監視、不要アカウントの削除など、基本的な対策を日常的に確実に実施することが欠かせません。

構築・運用コストがかかる

リモートアクセスを安全に運用するには、VPN装置やゲートウェイの導入、認証基盤の整備、端末管理ツール(MDM)の設定など、初期構築だけでも一定のコストと工数が必要です。

導入後も、OS・アプリの更新、証明書の管理、ライセンス更新、ネットワーク帯域の確保など、情シス部門の運用負担は少なくありません。また、社員数が増えると同時接続ライセンスや帯域拡張が必要になるなど、継続的に費用が発生しやすい点も見逃せないポイントです。

利便性と安全性を両立させるには、必要な投資と日々の運用体制を事前に見極めておくことが重要です。

VPNでリモートアクセスを構築する際の流れ

VPNでリモートアクセス環境を整えるには、まず「誰が・どの端末から・どの範囲へアクセスするのか」といった運用ポリシーを明確にすることが重要です。そのうえで、同時接続数やセキュリティ機能を踏まえてVPN装置やクラウド型VPNを選定し、多要素認証などの安全な認証方式を設定します。

続いて、従業員のPC・スマホ・タブレットへVPNクライアントを配布し、接続設定を統一することで、トラブルを最小限に抑えた運用が可能になります。運用開始後は、ログ監視や証明書の更新、帯域状況の確認など、セキュリティとパフォーマンスを維持するための継続的な管理が欠かせません。

また、VPN導入時は端末の入れ替えが同時に発生することも多いため、不要になったPCやスマートフォンの適切な処理も重要です。データ消去や廃棄の不備は情報漏えいにつながるため、端末整理とセキュリティ運用は常にセットで考える必要があります。

リモートアクセス環境を安全に維持するためには、技術面の構築だけでなく、端末管理を含めた総合的な運用体制が求められます。

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