情シスのAI活用による業務効率化ガイド!できること・導入手順・注意点を解説

問い合わせ対応、アカウント管理、IT資産管理、マニュアル整備、セキュリティ対応など、情シスの業務は広範です。人手不足や属人化に悩む企業では、生成AIを使って定型業務を減らしたいと考える担当者も増えています。
情シスのAI活用では、まず問い合わせ対応や文書作成など、人が結果を確認しやすい業務から始めるのが現実的です。一方、機密情報の取り扱いや誤回答、AI導入後に増える運用負荷にも注意が必要です。
この記事では、情シスがAIで効率化できる業務、企業の活用事例、導入手順・注意点を解説します。
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なぜ今、情シスにAI活用が求められるのか
情シスでは、問い合わせ対応や端末・アカウント管理といった日常業務に加え、クラウド利用の拡大、セキュリティ対策、DX推進など担当領域が広がっています。少人数で幅広い業務を担う企業では、属人化や業務過多が起こりやすい点が課題です。
IIJの「全国情シス実態調査2026」でも、回答者292件のうち情報システム部門の課題として「業務の属人化」が最も多く挙げられ、今後強化したいテーマとしてAI活用への関心も高いと報告されています。調査対象はIIJのメールマガジン読者であり企業全体を代表する統計ではありませんが、情シスの負荷軽減策としてAIが注目されている状況を示す参考になります。
AIは情シス担当者を置き換えるものではなく、定型作業や情報整理を補助し、人が判断・調整すべき業務へ時間を振り向けるための手段として考えることが重要です。
情シスのAI活用でできること【業務別】
情シスの業務のうち、頻度が高く、一定のルールで処理でき、人が結果を確認しやすい業務はAI活用と相性が良いです。
社内ヘルプデスク・問い合わせ対応の自動化
パスワード再設定の案内、VPN接続、社内申請、PCや周辺機器の設定など、回答を標準化できる問い合わせはAIによる一次対応に向いています。社内FAQや規程、マニュアルを参照するRAG(検索拡張生成)を組み合わせれば、自社情報に基づく回答を返しやすくなります。
ただし、参照元の情報が古いと回答も不正確になります。ナレッジの更新担当者を決め、解決できない場合は有人窓口へ引き継ぐ仕組みも必要です。

マニュアル・手順書・報告書などのドキュメント作成
生成AIは、作業メモから手順書案を作る、長い資料を要約する、問い合わせログからFAQ候補を抽出するといった用途にも使えます。担当者が持つノウハウを文書化し、属人化を抑える際の下書きとして活用できます。
ただし、管理画面の操作手順や障害復旧手順などは、AIの出力をそのまま正式文書にせず、実環境で確認してから公開しましょう。
IT資産管理・アカウント管理・ログ監視などの定型業務
IT資産台帳やSaaS一覧から重複・未利用候補を抽出する、ログやアラートを要約する、スクリプト案を生成するといった業務にもAIを活用できます。入退社時のアカウント作成・停止も、申請情報の整理や作業候補の提示までは自動化しやすい領域です。
一方、アカウント停止や権限付与、端末廃棄などをAIだけで実行すると、誤処理が業務停止につながるおそれがあります。AIは候補抽出・一次判定までとし、重要な変更は担当者が承認する運用が適しています。

情シスのAI活用事例

実際の企業では、全社向けAI基盤や社内サポートに生成AIを組み込み、情シス・IT部門の業務効率化につなげています。
パナソニック コネクト|全社員向け「ConnectAI」で業務を効率化
パナソニック コネクト株式会社は、2023年2月から全社員向けにAIアシスタント「ConnectAI」を提供しています。同社の公表によると、2024年はAI活用による業務時間削減効果が年間44.8万時間に達しました。
利用方法も、単純な質問から文書作成・コード生成などの「作業を頼む」形へ広がっています。さらに、品質管理やITサポートに自社情報を参照する特化AIを展開し、経理・法務などではAIエージェントの試行も進めています。
情シスの視点では、AIツールを配布するだけでなく、利用ルールとデータ管理を整え、活用事例を社内で共有しながら利用範囲を広げている点が参考になります(参考:パナソニックコネクト、「聞く」から「頼む」へシフトしたAI活用で年間44.8万時間の削減を達成|Panasonic Group)。
ソフトバンク|生成AIチャットでPCリプレイス時の問い合わせを自己解決
ソフトバンク株式会社では、社内生成AI環境「SmartAI-Chat」を社員サポートに活用しています。既存のQAデータをRAGに取り込み、社内規程などをAIが参照しやすい形に整えることで、問い合わせへの回答精度を高めています。
同社によると、2024年12月から2025年2月に行った大規模なPCリプレイスでは、関連問い合わせの約4割にあたる約2,100件がSmartAI-Chatで自己解決され、追加人員なしで対応できました。
この事例からは、生成AIの性能だけでなく、既存ナレッジの整備、出典表示、利用者からのフィードバックを通じた継続的な改善が重要だと分かります(参考:問い合わせ対応を生成AIチャットで効率化:ソフトバンクの社内サポート改革|ソフトバンク法人・ビジネス向けサイト)。
情シスがAIを導入する4つの手順
AI導入はツール選定から始めるのではなく、対象業務とリスクを整理して小さく検証することが重要です。
1.目的とKPIを決め、対象業務を選ぶ
問い合わせ件数、回答時間、手作業時間など、改善したい指標を決めます。最初は定型的で結果を確認しやすい業務を選びます。
2.AIサービスのデータ取り扱い・管理機能を確認する
入力データの保存場所、学習利用の有無、管理者機能、ログ、アクセス制御、外部サービス連携などを確認します。
3.利用ガイドラインを整備してパイロット導入(PoC)する
利用可能なAI、入力禁止情報、確認が必要な業務を明確にします。対象部署を絞って運用し、誤回答や問い合わせ増加も含めて検証します。
4.効果を測定し、段階的に利用範囲を広げる
導入前後で工数・問い合わせ件数・回答精度などを比較し、費用対効果を確認します。参照データや権限、ルールも定期的に見直します。
情シスがAIを導入するときの3つの注意点

生成AIは業務効率化に役立つ一方、導入後の管理業務や情報セキュリティまで含めて設計する必要があります。
注意点①|情報漏えいとシャドーAIのリスク
従業員が未承認のAIサービスへ機密情報や個人情報を入力すると、情報管理上の問題につながります。利用可能なサービスと入力禁止情報を明確にし、法人契約のデータ取り扱い条件も確認してください。
経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」やIPAのAIセキュリティ資料も参考になります。生成AI利用時の情報漏えい対策は「ChatGPTなど生成AIによる情報漏洩リスクとは?企業が今すぐ取るべき対策」でも解説しています。

注意点②|「導入したのに情シスの負荷が増える」問題
AIを導入すると、「使い方が分からない」「期待した回答が出ない」といった従来とは異なる問い合わせが増える場合があります。さらに、アカウント管理、利用ルールの更新、ログ確認、AIサービスの評価など、新しい運用業務も発生します。
PoCでは削減できた時間だけでなく、情シス側に増えた運用工数も記録し、総合的に効果を判断しましょう。
注意点③|AIの回答精度は社内データの整備状況に左右される
RAGを導入しても、マニュアルや規程が古い、複数の保存場所に散在している、同じ内容の文書が重複している状態では、正しい情報を参照しにくくなります。
AI導入前に、参照させる文書の正本を決め、更新日・管理者・アクセス権限を整理することが重要です。AIの回答精度向上と同時に、情シス業務のナレッジ標準化にもつながります。
AIだけでは情シスの課題は解決しない|アウトソーシングという選択肢
AIが得意なのは、情報の整理・要約・定型回答などです。現地作業や関係者との調整、重大な判断までAIに任せることはできません。
AIでは代替できない情シス業務とは
PCキッティング、端末の回収・交換、ネットワーク機器の設置、故障対応など、物理的な作業はAIだけでは完結しません。また、ベンダーとの契約交渉、セキュリティ事故時の判断、部門間の調整なども人が担う必要があります。
社内人員だけで対応しきれない場合は、定型的な情報処理はAIで効率化し、物理作業や運用作業は外部委託する方法があります。委託費用は業務範囲・台数・対応場所などで異なるため、必要な作業を整理したうえで見積もりを取得します。
AI活用×アウトソーシングで情シスの役割を分担する
加賀マイクロソリューション株式会社では、パソコン・モバイル端末のキッティング・設定などの受託サービスを提供しています。
https://www.microsol.co.jp/business/outsourced-solution.html
AIで問い合わせや文書作成などを効率化し、端末設定などの実作業を外部へ委託すれば、情シスはシステム企画・セキュリティ・業務改善といった戦略的な業務へ時間を振り向けやすくなります。
PC入れ替えで不要端末が発生する場合は、法人向けPC買取・データ消去もあわせて相談できます。調達・運用・退役のライフサイクル全体で、どの業務を内製し、どこをAIや外部サービスへ任せるか整理することが重要です。

まとめ|AIで「減らせる業務」と「任せられない業務」を切り分ける
情シスのAI活用は、問い合わせ対応、文書作成、ログ・資産情報の整理など、定型業務の負担を減らす手段として有効です。一方、機密情報の管理、重要な権限変更、現地作業、インシデント判断などは人の確認や対応が欠かせません。
まずは対象業務を絞ってPoCを行い、削減できる工数と新たに増える管理負荷を確認しましょう。AIだけで解決しにくいキッティング・サポート・端末回収などはアウトソーシングも組み合わせることで、情シスが本来注力すべき業務へ時間を配分しやすくなります。



